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ゾーンに入るお母さん
妻の母は、飛行機が上昇する瞬間が苦手なのだという。
わかる。独特の浮遊感、気圧が一気に変わって耳の奥がムッッとする感じ。僕もあんまり得意ではない。
不安にならないための対処法として、「ゾーンに入る必要がある」と言っていた。
具体的には『大人のおしゃれ手帖』(宝島社)を購入し、離陸して安定するまで熟読することで、心を落ち着かせるテクニックである。
それを、義母は「ゾーンに入る」と呼んでいるのだ。
先日、義母ふくめた家族と一緒に飛行機に乗って旅行に出かけた。
義母は予定通り『大人のおしゃれ手帖』を購入し、機内の座席につくと、本を開くことなく熟睡し、目的地まで起きることはなかった。
SAVE THE OASIS
久々に立ち寄った駅。好きな場所で時間を過ごすことにした。
商業施設の1フロア全体が書店で、併設されたカフェで買った本を読めるのだ。
ラルティーグの写真集も置いてあるし、ジョナス・メカスの詩集もあったはずだ。なにか買って帰りたい。
そう思ってエスカレーターを上がると、ぜんぶガシャポンになっていた。
オギャーーーーー、と思った。
書店だったときは、入り口付近に数台あるだけだったガシャポンが。
野を焼く火のように広がり、いまやすべてを支配している。
誰が悪いって、僕が悪いのだ。
“好きな場所”なくせに、”久々に”行ってるんだから。週5で行け。買い支えろ。
みんな、オアシスはいつまでもあると思うな。
オアシスを守れ。アンタが守るんや。
おっちゃんとの、約束やで…。
ロフトベッドを買った
県立テクノポップ学園の躍進
息子のパワプロで、『栄冠ナイン』を始めた。
栄冠ナインは、野球部の監督となって、球児たちを甲子園優勝に導くゲームだ。
僕が赴任した「県立テクノポップ学園」の野球部は弱小も弱小で、公式戦どころか練習試合でも勝てないチームである。
そもそも僕自身が野球をよくわかっていないので、監督も弱小と言っていいだろう。
試合では監督として選手に指示ができるのだが、野球用語を知らないのですべてを勘で行っている。
勘にまかせて「引っ張れ!」だの「流せ!」だの指示し、球児も打ったり打てなかったりするわけだが、果たして指示が通っているのかすら疑問だ。
かくして、誰もなにも分かっていない高校野球生活を送っている。高野連としても前代未聞だろう。
しかし、ある日を境にすべては変わった。
栄冠ナインには”転生OB”というシステムがあり、実在のプロ野球選手が高校生(新入生)として入学してくれることがあるのだ。
転生OBたちは、比較的高い能力を持って入学するため、1年生ながら即戦力になりうる人材である。
ある年の春。
わが県立テクノポップ学園に、大谷翔平が入学したのだ。
野球そのものみたいな人間が、なぜ地方大会二回戦どまりを連発しているウチに…?
疑問は尽きないが、ありがたい。ステータスも桁違いだったため、大谷翔平は入学初日にレギュラー入りした。
高畑(3年生ピッチャー)、ごめん。ベンチでいっぱい応援してくれ。
今までワイドショーぐらいでしかその活躍を知らなかったが、ゲームとはいえ自分のチームに入ったことで、彼のすさまじさを思い知ることになった。
基本的にどんな指示を出しても打ってくれる。
もちろんピッチャーとしても起用しているので、剛速球で抑えてくれる。
まさに八面六臂の大活躍。試合を重ね、練習の年月を重ねるごとに、メキメキと強くなっていく。
完全に大谷頼りの布陣で、ついに県立テクノポップ学園は、春の甲子園を優勝したのであった。
なんてすごいんだ、大谷翔平。
ありがとう、大谷翔平。
いま3年生だよな、翔平。
お前が卒業したら俺たちどうしたらいいんだ、翔平。