フローラル、突然に

名古屋・金山ブラジルコーヒーでの出演が終わったあとの話だ。

外に出た瞬間、店の前でヤンキー4人組に絡まれた。

「お兄さん、金持ってそうすね」
「俺、ベンチプレス85kg上げるんすよ」
「失礼だと思ったら、ぜんぜん殴ってくれていいんで。ほら、顔。顔殴ってみなよ」

全部のセリフが怖すぎる。帰らせてください。ベンチプレスが何kgから凄いのかも知らないんです。
逃げるように、というか逃げる形でブラジルコーヒーに戻ると、すでにケバブジョンソンの演奏が始まっていた。

軽快に体を揺らすハヤトが目の前にいた。
ハヤトはデカい。190cm近くある。そのデカさに安心する。

ハヤトがおもむろに帽子を取って、長い髪をまとめた。
ハヤトはTRICKの頃の仲間由紀恵より髪が長いのだ。

フワッ、とフローラルな香りが漂った。

女性が横切ったのか? いや、ハヤトの髪だ。

不気味だった。さっきより怖い。
なにしろハヤトからは普段タバコの臭いしかしない。
「この人、こんな香りのする部位があったのか」と驚愕した。

あとで本人に伝えたら「俺っていい匂いがするのかあ」とちょっと喜んでいた。
そうは言っていないんだけどな。

億泰のカプレーゼ

果物が食べられない。
嫌いなもので自分を語ってすみません。でも食べられない。
なぜかは分からないが、小さいころから果物を食べると反射で吐きそうになってしまう。

食感が似たものも苦手なので、トマトもだめだ。
野菜の一部にはあまりにも果物に似た連中がおり、トマトはその代表格だ。赤すぎるし、みずみずしすぎる。
仮にも野菜を名乗るなら、もっと葉っぱ中心のフォルムにできないのか? キャベツやレタスを見習え。

そういう訳で、トマトを見かけるたびに8万回舌打ちをしていたが、なんと今は普通に食べられる。
生のトマトをかじれ、と言われれば抵抗があるが、スライスされていれば全然平気だ。

理由はかなり単純だ。
僕は高校生のころ、『ジョジョの奇妙な冒険』をアホほど読んでいた時期がある。
虹村億泰という僕より単純な男が、レストランでイタリア料理を食べるだけのエピソードがあり、そのメニューには『モッツァレラチーズとトマトのカプレーゼ』が含まれていた。
そのカプレーゼが、ウマそうにも程があったのだ。
カプレーゼを初めて食べた億泰は、「トマトとチーズがお互いを引き立てあう、まさにハーモニー」「ウッチャンに対するナンチャン」「サイモン&ガーファンクル」などと絶賛する。

奇妙な漫画なので、食べた結果として億泰の肩がエグれたりするのだが、それはともかく「そ、そんなにウマいのか?」と僕にすら思わせるリアクション。
頭の片隅にカプレーゼへの興味を植え付けられた僕は、ある日訪れたバイキングで、試しにエイヤッと食べてみた。

億泰の言っていたことは本当だった。口の中で『サウンド・オブ・サイレンス』が流れている。
この世にこんな爽やかで美味しい料理があったのか。
衝撃を受けて、三回おかわりした。こうなると、億泰より僕の方が単純なんじゃないか。

それ以来、トマトは食べられる。
ただし果物、テメーはダメだ。まだ心を許していない。
まあ、荒木飛呂彦先生が果物を美味しく描いたら、ちょっと分からないけども……。

A.X.E.: ジャッジメント・デイ

ShoProからの出版が終わってしまうので、急いで『A.X.E.: ジャッジメント・デイ』を買って読んだ。
無茶な内容で面白かった。

A.X.E.はマーベルコミックスにおける各団体の略称で、”A”vengers(アベンジャーズ)、”X”-MEN(X-メン)、”E”ternals(エターナルズ)を指している。
それぞれがバラエティ豊かな能力で、バラエティ豊かに人助けをしているのだが、今作では彼らが一堂に会するという訳だ。

あるキャラクターの計略により、すべてのチームが理不尽な闘いに巻き込まれる。
この紛争を解決すべく、巨大な神格存在(セレスティアル)を蘇らせるのだが、この巨神が人類ひとりひとりにジャッジを下し、「『高評価』よりも『低評価』の数が上回ったら、人類は滅亡させます!」と言い出すのだ。
争っている場合ではなくなった各チーム。勝手にYouTubeみたいな仕組みにされた地球を救うことはできるのか?

という内容が、200ページちょいに詰め込まれている。無茶!!!
ページ数だけならジャンプコミックス1巻分程度だ。
つまり、1ページごとの情報量がえげつないということになる。

だから読んでいる最中は気が抜けない。
ちょっとぼーっとすると、さっき死んでたヤツが2ページ後で生き返ってたりするので「な、なんで!!?!?」となる。
とんでもないスピードで事態が悪化していくので、世界の終わりをダイジェストでお送りされているのかと思った。
意外と終わるときはこれくらいサクサク行くものなのだろうか。じゃなきゃ良いんだけど。

いまはもう一回読んでいる。ストーリーが分かったうえでゆっくり読むと、キャラの表情やアートに着目できて良い。
ミスター・シニスター(勝手に人のクローンを作ったりする悪党)がだいぶ好きになってきた。
簡単に言うと胡散臭いカス人間だが、状況が状況なので今回は味方だ。

自信満々に作戦を説明しながら敵の前に歩を進めた次のコマで、「助けて!(意訳)」「ウルヴァリンがんばれ!(意訳)」と絶叫していた。
これこれ。非常に味わいがあるよ。

ていうか、長髪のミスター・シニスター、なんかメロくないか。
ミスター・シニスターにメロつく日が来るなんて思っ・・・

・・・やめよう。
こういう事ばっかり言ってると、セレスティアルに低評価を押されそうだからね。