ふとした瞬間、自分が武器を手にしていると気づく。
最近義母からもらった、トイレの消臭剤である。
これはたった一滴たらすと、さっきまで親の仇とばかりに充満していたウンコの臭いが、完全に掻き消える優れモノだ。
本当に一滴で臭いがゼロになる。正確には、この消臭剤のアップルの香りで上書きされる。
だから感覚的には、消臭というより、現実が書き換えられたように感じる。
ウンコはもともとフルーティな香りがするもの、と脳が騙されそうになってしまう。
一滴でこの威力。
この容器には数十ミリリットルしか入っていないが、万が一こぼしたら、もうおしまいだろう。
床が強力なアップル臭を放ち続けるのだ。きっと、永遠に。
そんなもん、もう武器では?
人にかけたら、たぶん犯罪だ。知らんけどなんらかの罪の要件を満たすに違いない。
アップルだからまだマシだけど、当然作ろうと思えばコレの悪臭バージョンだって作れるはずだ。
魚とか。うわー、最悪。
足の爪の間に挟まったゴミの匂いとか。自分で言ってて嫌になってきた。
マッドマックスみたいな世の中になったら、これのクセー版をぶっかけ合う最低のバトルが流行ったりするかも。
願わくば、アップルを一滴垂らし続けたいものだ。


