僕の家から最寄りの映画館まで、車で30分ほどかかる。
住んでいる町には本屋もなく、すなわちタワレコやディスクユニオンも無い。
ひとたび車がなくなると、すっかり文化から隔絶。そんな気分になる。

8月に車が壊れてからというもの、カーペットに突っ伏してインターネットを眺める生活を送ってしまっていたが、これは良くない。
文化的な生活は、自ら掴み取りに行くべきだ。

という訳で、『文学フリマ』の門を叩いた。
ドンドン! すいません、ビッグサイトですか。文学をください。

文学フリマは、いわゆる同人誌即売会の一種だ。
プロ・アマ問わず、みんなのオリジナル”文学”を、思い思いのやり方で表現する場所である。

何時間いたか覚えていないが、とにかくたくさん買った。
買った、というか。気が付いたらカバンが重くなっていたのだ。
日常におけるお買い物に比べて、”検討”のブレーキがかなり甘くなっていた気がする。
「あっ、ある。ください」の連続である。

あっという間にトートバッグはいっぱいになり、ヒモがギチギチと僕の左肩に食い込んだ。
次回はリュックサックで行こう。

現在、コタツテーブルの一角は、文学フリマで買った本と、その翌日にうっかり買ってしまった本で埋まっている。
本棚はすでにいっぱいなので、避難場所としてコタツテーブルが指定されているのだ。
この冬はこれらを読みながら、本棚を作って過ごそう。
車はどうなるかまだ分かっていないが、ちょっと文化が戻ってきたのではないだろうか。