
親父がテレビに出ていた。
親父、というか、僕以外の実家ファミリー全員がテレビに出ていた。
父の一(はじめ)はキャンプや防災に詳しく、そういうことを仕事にしている。
月一ペースでテレビかラジオに出演しており、今回も実家に取材が入ったらしい。
庭で父と母、そして妹と妹のパートナーが焚火でチャーハンを作っているシーンが流れていた。
そこに僕はいない。
一家でただ一人、アウトドアに深い興味を持たずに生きているからだ。
「庭にテントを建ててバーベキューをするが、来るか?」と聞かれたらたぶん行かないが、「手塚治虫の『シュマリ』を全巻買ったけど、読むか?」と聞かれたら行く男だ、僕は。
家族にもそんな風に認知されているので、アウトドア系の用事で僕が呼ばれることは少ないのである。
僕がこうなった理由は両親の影響に依るところが大きい。
親から受け継いだ文化や美術が、僕の核になっている。
ただ、カルチャーに夢中になりすぎて、キャンプをやるリソースが枯渇したのだ。
実家は近いのでたまに遊びに行く。先週もワインを渡しに行った。
ふと親父に「最近ガンダムを見始めたんだけど、当時見てた?」と聞いたら、しばらく考えたあと「うーん、ガンダムもエヴァンゲリオンも全く見てないんだよな・・・。」「えーーーー、綾波・・・?」とだけ言っていた。
ロボットアニメのジャンルにおいて、綾波レイただ一人が、ギリギリ親父の脳にしがみついている状態だ。
ふんばれよ、綾波。君が親父とサブカルを結び付けている。