2025年 3月 の投稿一覧

泡に覆われた人生

*ウンコの話をします。

都内のスタジオで大きいお花を摘んでいて、ふと気が付いた。

便座内がフワフワの泡で満ちている。

そして、ウンコ本体がフワフワの泡で見えない。

いや、別にいい。便座くん、ご配慮ありがとう。

自分が出したはいえ、見たくないときってあるもんな。

このフワフワの泡の”隠す力”たるや、その後落としたトイレットペーパーすら飲み込んで、影も形も見えなくするほどだ。

おまけになんのニオイもしない。

ちょっとの不快感も与えませぬぞ、という強靭な覚悟を感じる。

すごいトイレもあるもんだな、と思いつつも、ある不安がよぎった。

幼少期からこのトイレを使って育ったら、”ウンコ”を知らない人間が出来上がってしまうのでは?

物心ついたときからフワフワ泡タイプのトイレだけを使う、大富豪の子供がいたとしよう。 出したモノも、拭いたペーパーも、すべては泡に覆い隠される。 そんな生活に疑問を持つことなく、やがて成人して一人暮らしを計画。 豊かな実家を飛び出し、ワンルームで新しい人生を始めるのだ。 不安と希望が入り混じる、転居初日。 ふと便意を催し、急いでトイレに駆け込み、無事に事を済ます。 便座から立ち上がり、ふと視線を落とすとそこにはー マジでどうなるんだろう。気絶するんじゃないか。

転転飯店とでかい墓石

転転飯店のコント公演『スケスケ・ア・ゴーゴー』を観に行った。

涙が出るくらい笑った。本当におもしろかった。

劇場も満員で、全ネタばっちりウケていた。

平山犬(大学の後輩かつ、お友達)が書くコントが好きなので、たくさんの人が見るようになり、勝手に僕も嬉しい。

彼は、「人をいやな気持にさせたくない」という願いと、「なにがなんでもウケたい」という欲求を、矛盾することなく脚本にできるヤバい人間の一人だ。

その二つを両立させることは異常に難しいにも関わらず、なんかずっと飄々とやってのけている。

 

衝撃を受けたのは中盤、舞台の転換時であった。袖から、でかい墓石が出てきたのだ。

小柄な人間サイズくらいの、リアルで存在感のある小道具の登場。

なぜか感動してしまい、「ウワー」とちっちゃい声がでた。

前の公演ではきっと作れなかったであろう、でかい墓石。

前よりスケールアップした劇場だからこそ映える、でかい墓石。

 

そんなでかい墓石を、中村くんが抱きしめ、横倒し、一心不乱に掃除している。

 

めちゃくちゃ面白かった。物理的にでかい墓石が”そこにある”からこそだ。

前ならマイムでやっていたであろうネタが、でかくてリアルな小道具を使ってできる。

 

成功の基準は人それぞれだし、上を見上げたらキリがない。

けど、「でかい墓石を好きにできるようになった」は、まぎれもなく成功の証だ。

応援している二人が、好きなことをやって成功するのは、ただただ嬉しい。

そのうちワイヤーで空飛んでほしいな。