ヒゲと母性

数年前から、ごはんが楽しくなってきた。単に年齢を重ねたせいか、自分で選べることが増えたせいか分からないが、美味しいものを食べることにエンタメ性を感じるようになった。

ただ、「最近、これ美味しくて~」みたいな話をバンドにすると、必ず「あのサンちゃんがねぇ…。」と竜がしみじみ呟くのが腹立たしい。

確かに、10代の僕は「食事?フン、興味ないね…。」といった感じの態度だったかもしれない。

そんな食事のクラウドみたいだった人間が、モリモリ飯を食ってBMIをガンガン上げているのだ。
竜も「あの、サンちゃんがねぇ…。」と言いたくもなるのだろう。
だけど、やめてくれ。お母さんみたいにしみじみするな。俺の成長を優しく見守るなよ、ヒゲ人間が。

とはいえ、例えば田中がお菓子を床にこぼさなくなったり、ハヤトがクイックルワイパーで自室を掃除したりし始めたら、どうだろう。

「成長、したんだねぇ…。」と僕も言ってしまうだろうな。お互い様という訳か。

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