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人間学校

車のことがよくわからないまま、車を運転している。

最近もフロントガラスにち~~っちゃい傷がついたので、リペアキットで直してみた。
あんまりうまくいかず、結局修理に持っていったところ、「素人がやるな」「一回こんな風にされたら修理できない」と追い返されてしまった。
言われてみりゃその通りである。

自動車学校を卒業したあと、ガソリンの入れ方が分からなくて膝から崩れ落ちたこともある。鎌倉のENEOSで。

「走れば走るほど、内部がピカピカになりますよ!」と店員さんに教えてもらい、エンジンに車用のシャンプーを入れたこともある。
その日のうちにエンジンが寿命を迎え、やたらとキレイだが壊れているエンジンが誕生した。

こういうのは、どこでみんな学んでいるのだろうか?

車のことや住民税、デートのときに車道側を歩くのはわざとらしいのかどうか、などなど。
いったいいつ、どこで学ぶんだ?

高校を卒業したタイミングで、1年制の『人間学校』みたいな感じのものがあったらいいのにな。

その学校では、社会生活に必要な基礎知識に加え、飲食店の予約の練習や、美容師との会話の練習などができる。

区別がどうこう言うのは結局差別であることを学べる倫理の授業も当然あるし、ささくれができない爪の切り方も教えてくれる、素敵な学校なのだ。

 

A-Punk

高校生のころである。
昼休みになると僕や田中は図書館横のベンチテーブルに集まり、CDやDVD、漫画の貸し借りを行いながら、同級生の陰口を叩きあう、カスのカルチャーグループとして校内で頭角を現していた。

ある日、田中に「寒川、『A-Punk』知ってるか?」と聞かれ、僕は「ああ、知ってるよ。ヤバいよな、『A-Punk』」と答えた。

知らなかった。知ってて当たり前みたいな口ぶりだったので、とっさに虚言が飛び出てしまった。

急いで帰って、汗だくのままYouTubeで『A-Punk』を検索したのを覚えている。てっきりバンド名だと思っていたが、曲のタイトルだった。

この一曲を聞いて以来、ずっと僕はヴァンパイア・ウィークエンドのファンだ。
当時の僕にとって『A-Punk』の衝撃はすさまじく、やたらと軽快なギターサウンドと記憶に刺さるリフレイン、そして謎めいた歌詞の世界観にすぐ魅了されてしまった。

『A-Punk』の詞は明らかに誰かの死を暗示している。
だけど、具体的になにが起きたのかはサッパリわからない。
固有名詞が大量に出てくるのに、結果的に浮かび上がるのはボヤけた雪景色だけ。

これって相当クールなことだ。言葉と音を高度に操っていて、しかも聴き手を信頼している。

すぐにTSUTAYA DISCASでアルバムを借りて、ブルーに煌めくiPod Nanoにダウンロードした。
自転車・電車・バスを乗り継ぐ1時間半の通学は心底苦痛だったが、『M79』や『Oxford Comma』のおかげで気が狂わずに済んでいたと思う。

去年の新譜『Only God Was Above Us』のLPもウキウキで手に入れたが、妻に実物を見せたら絶句された。

「それ、響の誕生日プレゼントにと思って買っちゃったんだけど・・・。」

ホラ、と言いながら妻がクローゼットの奥を指さした先には、きれいにラッピングされたLPサイズの袋があった。
「FOR YOU」と書いてあった。

ドーン。YOU FAILD。お買い物失敗。

2枚あってもしょうがないので、僕が買った方の『Only God Was Above Us』は田中の誕生日にあげることにした。

横流しといえば横流しだが、田中に教えてもらったモノが田中に巡った、と考えたほうが美しいと思う。

 

マリオカートなめんなよWORLD

運よくSwitch2を買えたので、『マリオカート WORLD』でレースしまくりの生活がSTARTした。

いつもインディーゲーム、しかも数日で全クリできるものばかりやってるせいか、マリオカートから感じる “大手” のオーラに圧倒されている。

キャラ選択画面の時点で、マリオ、ルイージ、ヨッシー、などなど。
知っているキャラ、というか、生活の中にいるキャラたちだ。
この国で彼らを知らずに生きるほうが難しい。

レースコースも、いかにもショートカットできそうな場所や、テクニック次第で行けそうな隠しエリアが満載だ。
「ほら、ここを走ればもっと速くゴールできるよ…」とニンテンドーが耳元でささやいてる。
その声に導かれるがまま、ドリフトと壁ジャンプの練習を繰り返していると、あっという間に4時間くらい経っているのだ。
とても数日で遊びきれるボリュームじゃない。

楽しくてしょうがないけど、ここまでホスピタリティが抜群だと「遊ばせていただいている」感があってちょっと悔しい。
心の中の逆張りマダムが「なめないでくださる!??!?!?」と大声をあげている気がする。

せめてもの抵抗で、キャラはマリオやクッパを選ばない。ウシだ。

スーパーマリオ何からのゲスト出演なのかは分からないが、キャラ選択画面にシンプルなウシがいるのだ。

丸みを帯びた体躯。キラキラと輝き、ひたすらに前だけを見つめる瞳。

知名度やキャラ性能など関係ない。コイツだ。コイツが僕の相棒だ。

という訳で、ウシをデカいバギーに乗せ、ゴリラの作った宇宙センターで暴走して遊んでいる。

どうだ、これが自由だ。

そう思っていたら、ウシの性能はTiar-S(最も良い)らしい。
スピードがトップレベルで、混戦に強いそうだ。

「じゃあいいじゃないですか」とお思いかもしれないが、僕が【マイナーキャラ選んでまでゲームに勝ちたがってるヤツ】みたいになるだろ。
そんなん、よくありませんことよ!!!

要するに、メジャーキャラを避けがちな僕のような人間にも、ニンテンドーは優しいというわけだ。

その優しさ、マリオにも分けてあげてよ。マリオ、Tiar-B(Sランクの2つ下)らしいじゃん。