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マーダー年越し

マーダーミステリーというボードゲームのジャンルがある。

ロールプレイしながら殺人事件の謎を解こう、という趣旨のゲームだ。
プレイヤーはそれぞれ与えられた役割の中で、それぞれの勝利条件を目指していく。
もちろん、設定上「犯人」であれば、指摘されずに逃げ切ることが条件だ。

12月31日の年の瀬、僕は友達と一緒にマーダーミステリーに興じていた。

紅白を見ている妻と息子を尻目に、「元アイドルの玉の輿セレブ妻」役として、高めの声で犯行を否認していた。

なんだってのよ。アタシ今関係ないでしょうよ。
アンタこそ昨晩の目撃者いないんだから、キリキリ弁明しなさいよ。

マーダーミステリーは、お互いの証言のウィークポイントを突つき合うゲームなのだ。
明らかにとぼけているヤツ、発言すべてがウソくさいヤツ、そもそも普段から何を考えているか分からないヤツ。
友情にヒビが入るんじゃないかと思うくらいお互い指を指しあいながら、殺人事件の真相ににじり寄っていく。

気がつくと、年が明けていた。

いちおう「あけおめ!ことよろ!」くらいは言った気がするが、「そんなことより、キサマ嘘をついていないか?」という話にすぐ戻る。

解決したのは2時すぎであった。
はあ~~なるほどねえ、悲しい事件だったね、などと言いながら、各々が麻雀の準備を始める。

初夢は大三元をツモる夢だった。幸先がいいんじゃないでしょうか。

怖くなるところだった

作曲家の岡部弦くんと廃墟に行った。
もちろん大丈夫な廃墟。立ち入りが合法なタイプの廃墟だ。

その廃墟は、山の中にある。
車を停めていいスペースや、仮設トイレもあり、廃墟なのに至れり尽くせりだ。

もともとは巨大な研究施設だったらしい。
建物自体は老朽化はしているものの、全体的に頑丈に見える。
中に立ち入ることはできないが、窓の外から観察した限り、建物内も大して傷んでいない。

ものすごく活用できそうなのに、なんの活用もされてないのが信じられない。
我々のような物好きがたまに訪れて「ほえ~」「テンション上がるなあ」とか言うだけの場所にしては、あまりにももったいなく感じてしまう。

周囲を散策していると、遠くから音が聞こえてきた。

くぐもっているが、電子音だ。
場違いな音に、思わず僕らは黙って立ち止まる。

耳をすますと・・・知っているメロディ?

【ポポーポ ポポポ♪ ポポーポ ポポポ♪ ポポポポポー♪……】

「これ、スーパーの・・・?」
「呼び込みくん、ですね」

岡部くんがそう言った瞬間、その音は止まった。

改めて言うが、ここは山の中の廃墟だ。
イオンの鮮魚コーナーではない。
だが、聞き間違えようのないメロディだった。

一瞬、嫌な想像が頭をよぎる。
妙にくぐもっているから、遠くで鳴っていると思った。
そうではなく、建物の中で鳴っていた、としたら?

「寒川さん、知ってますか」

岡部くんが声をひそめて言う。

「呼び込みくんって、2万くらいするらしいっす・・・」

ウソだろ? 高すぎる。
せいぜい4000円くらいかと思っていた。

その後、業務用のアイテムって予想とズレた値段だよね、というあるあるで小さく盛り上がり、もともとなんの話をしていたか忘れてしまった。
危なかった。怖くなるところだった。

リークと共にあらんことを

『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』は、来年の今ごろ公開予定だ。
僕は楽しみにしすぎており、たまに『ドゥームズデイ』を観た、という夢を見る。

先週見た夢も結構リアリティがあったが、メインキャストの一人がオダウエダの植田さんだったので、現実ではないと気がついた。
ちなみに植田さんはX-MENのメンバーだった。ハマり役だったので、「ちぇ、夢か・・・」と少しガッカリしてしまった。

12月17日現在、今作は予告編すら発表されていない。
マーベルスタジオにいけずを喰らっている状態である。

我々ファンにとって、予告編は一大コンテンツだ。
せいぜいが90秒の新規映像で、ドッグランに連れてきてもらったコーギーくらいハシャげる。
短くて可愛い手足をバタつかせ、場合によってはよだれも垂らす。
キャプテン・アメリカがミサイルでサーフィンしたらシッポを振るし、別世界のドクター・ストレンジが登場すればお腹を見せて喜ぶのだ。

そういう訳で、大勢のファンが『ドゥームズデイ』の予告編を今か今かと待っている。
となると、必ず起こるのは【リーク合戦】だ。

まず、自称・関係者のSNSアカウントが大量に発生する。
有力なリーク(タレコミ)情報を持っているよ、フォローしてね、というわけだ。

彼らの持つ情報は虚実入り乱れているため、基本的には信用できない。
SNSは投稿の反応の大きさでお金を稼げるプラットフォームだ。
そして、巨大なファンダムは新しい情報に飢えている。
間違った形ではあるが、需要と供給が嚙み合ってしまうのだ。あらあら。

それでも、数年前はかわいいものだった。
リークアカウントはPhotoshopやBlenderを駆使し、それっぽい画像を一生懸命作って投稿していた。

いまや、AIでリーク画像・映像は作りたい放題だ。

低コストで、時間もかからないAIの登場で、今年は山ほどフェイク情報がタイムラインに流れてきた。
偽の撮影風景、偽のコンセプトアート、果ては偽の本編映像!
しかもハイクオリティ。3年前なら信じていただろう。
いや、正直言ってもう見分けはつかない。言語化すら難しい、わずかな違和感だけが頼りだ。

もうウンザリ!と言いたいところだが、リークアカウントはあんまりブロックしないことにしている。
楽しみな映画の新情報の真偽で右往左往するのは、なんというか、好きなのだ。
AIの参入は、間違い探しの難易度が上がっただけとも言える。

結局、映画が面白いかどうかは本編を観ないとわからない。当然だ。
予告編や事前情報などはマーケティングの一環に過ぎず、映画そのものとはあまり関係ない。
どっちでもいい。でも、どっちでもいいことで騒ぐのは楽しい。

嘘か本当かわからないが、『ドゥームズデイ』のティザー予告は4つあり、『アバター/ファイヤー・アンド・アッシュ』の上映時に、毎週違う予告映像を流していく、という噂がある。
本当だとしたら、とんでもなく大胆というか、アホなやり方だと思う。
本当だといいな。