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CloverPitから抜け出せない

みんな、ギャンブルは好きか。

僕はあんまりやったことが無い。
試しにパチンコ店に入ってみた経験はあるけど、どこで何をすればお金をパチンコ台に入れることができるのか分からず、半ベソをかきながら退散した。

それでもスリルは感じてみたい欲求はある。
お金はびた一文かけたくないけど、強烈なヒリヒリは味わいたい。
できれば家で。

そんな僕にうってつけなのが、『CloverPit』なんですね。

 

『CloverPit』はSteamで遊べるインディーゲームだ。

プレイヤーは、暗くて狭くて陰気くさい独房に閉じ込められている。
目の前にあるスロットマシンをプレイして、ラウンドごとに決められた借金を支払えなければ即死

借金額は、死のピンチを搔い潜るたびに上昇する。
最初は75コイン返せばよかったのが、あれよあれよという間に200,000コインを超えてしまう。

問題のスロットは【レモン】や【サクランボ】の図柄を三つ揃えて、2コイン稼げる、とかそんなレベルだ。ざけんな。

そんなこんなで何度も何度も死ぬうちに、徐々に効率的な方法が分かってくる。
やっぱ金稼ぎは、頭が大事ってワケ。
ランダムで手に入るアイテムをうま~いこと組み合わせれば、ほら。
【サクランボ】が揃うだけで、120,000コインだ。見たか。これが多摩美術大学中退者の頭脳プレイだ。

ちなみに、いくら借金を返しても独房からは出られないっぽい。
スロットが楽しすぎてすっかり忘れてた。脱出が目的だった。

どうやらプレイヤーをここに閉じ込めたヤツがいる。
ソイツを出し抜いて脱出するには、借金額がさらに上がるアイテムを使用する必要がありそうだ。

 

えっ、嫌なんですけど!?

稼ぎが減るの、嫌なんですけど!!!?!?!?

 

つまりプレイヤーは、脱出しなくてもいいのだ。

スロットを回し続け、射幸心で脳みそをトロトロにしたければ、独房にいつまでいてもいいのだ。

ほーら、君もやりたくなってきたんじゃないか?

ジャックポットの演出が見たいだろう、チャリンチャリンチャリンチャリン・・・。

愛なのか、恋なのか

バンドメンバーも妻も高校からの付き合いなので、同窓会のような日々を送っている。
実際の、ちゃんとした同窓会に行った経験は、成人してから一度だけだ。

中学校の同窓会だった。当時の学級委員長が方々に声をかけ、ほとんどのクラスメイトが集まることができた。
とんでもない幹事力だと思う。それほどの幹事力を身に着けるまでには、涙で枕を濡らす夜もたくさんあった事だろう。

同窓会は楽しかった。
当たり前のことだけど、中学生の頃の印象しかない人が、しっかり大人になっているのは面白い。

同じ班でヤンキーに追いかけ回されていたヤツは、雑誌の編集者になっていた。
「こいつ耳遠いよな~」と思っていたら、耳垢が鍾乳洞みたいに蓄積していた男は、都内でしっかり就職していた。

僕はといえばバンドマン・・・というか無職である。
当時は世間に出していたものも、自主制作アルバムぐらい。実に心細い。

そんな僕の心情など、誰も気にしていなかった。
とにかくみんな酔っぱらっていて、とにかくみんなフレンドリーだった。
「寒ちゃんも飲めよォ!」
「俺、飲めないんだってば!」
「なんだよォ、じゃあソフトドリンク飲めよォ!」
「おい、誰かッッ!!寒ちゃんにオレジュー(オレンジジュース)8リットル持ってこいッッ!」
このやり取りを一晩で100回やった気がする。僕はオレジューで腹がいっぱいになった。

夜もだいぶ深くなったころ、当時いちばんヤンチャだったNが、”深紅”としか言えない顔色で僕の席に身を寄せた。
「寒ちゃんよ、俺ェ・・・数十年生きてきてな、もっとも大切なことに気づいたんだな。」
どんよりした瞳で僕に語り掛けながら、ぐっと肩を回してくるN。
「なに、マジな話?」と笑いつつ、僕もNの肩に腕をやる。
「ものすげー真実だよ。俺、気づいたんだ・・・。恋よりも、愛のほうが大事なんだよ!」

なるほど。中学を卒業してはや数年。
こんなことを言い出すくらいには、Nにも濃密なラブストーリーがあったのだろう。

「つまり、どういうこと。」と聞くと、Nは真剣な顔でこう答えた。

「”愛”って字には、『心』が入ってんだよ。
 でも、”恋”って字には、『心』は入ってねえんだよなあ・・・!」

おお・・・。世界一バカな意見だ。

「どっちにも入ってるぞ、心。」
「ああ!?入ってねえだろゥッ!いま書くから、ちょっと、貸してノート。」

僕のカバンからノートとペンをひったくり、Nは酔っ払いのヨレヨレ筆圧で、大きく『愛』と書いた。

「で、次は、”恋”だ!」

そう言いながらNが『愛』の隣に書いたのは、『変』という字であった。

その時、下戸であることを初めて残念に思った。
酒が飲めたらもっと笑ってたんだろうな、あの瞬間。

AIは竜を認めない

田中がリハで撮った写真を、AIで動画にしたらしい。

確かに演奏をしている感じ、にはなったものの。

なんということでしょう。
竜が右利きになった。

ギターの種類も変わっている。真っ赤なストラトだ。
鈴木茂モデルかもしれない。いいなあ。

なんにせよ、AIは左利きを認めてくれていない。
頑張れ、竜。めげないで。