空中カメラの映画好き 寒川響が、
旬の映画や旬じゃない映画について熱く語るコラムです。
毎月20日更新!
Netflix限定配信の映画『クローバーフィールド・パラドックス』、最近テレビのCMでよく観ますね。漠然と宇宙のイメージと、突飛な怪奇現象が起きてるシーンをチラチラチラッッと見せて、「これは一体なんだ!?」と好奇心を煽るCM。
実際観てみると、宇宙船の中で怪奇現象に遭遇する内容なので若干ガッカリします。CMと内容が同じだからです。
『パラドックス』は他のSFスリラー映画の企画を路線変更して、パニックおもろカルト映画『クローバーフィールド』の要素をくっつけたんじゃないかとまことしやかに囁かれている、いわゆる大人の事情モリモリ映画な訳ですが、そんなら『クローバーフィールド』はそもそもなんなのという話を今日はさせてください。よろしくおねがいしゃっす。

クローバーフィールド/HAKAISHA

2008年(アメリカ)
監督:マット・リーヴス
製作:J・J・エイブラムス

「LOST」のJ・J・エイブラムス製作によるパニック・ムービー。正体不明の何者かに襲われたニューヨークの壮絶な一夜を、現場に居合わせた人物の視点から、ハンディカムで撮影されたドキュメンタリータッチの映像で臨場感たっぷりに描く。ニューヨーク、ダウンタウン。友人たちと楽しい一時を過ごしていた青年ロブだったが、その時、街が突然の爆音に揺れる。慌てて外に飛び出した彼らの目の前に、無惨に破壊された自由の女神像の頭部が転げ落ちてきた。

あらすじ引用:映画.com

本作はおおまかに言うと「一般人の手持ちカメラで撮った風の怪獣映画」です。海外に異動する男のお別れパーティの最中、NYが大破壊される憂き目に合います。
ほとんどの場合において、怪獣映画の主人公(または主人公チーム)は、怪獣に対抗する能力・手段などをもって解決にあたるものですよね。軍人とか博士とか。あと独特なタイツを着たマッハ文朱とか。
しかし本作に出てくる人物はほとんど一般人で、状況を把握することも解決することもできません。怪獣と闘うウルトラマンの物語ではなく、彼らの足元にいる人間のストーリーです。できることは逃げるだけ。ミニマルな視点からリアルな災害と恐怖を味わえます。
展開のテンポも良いし、かけるべきところにしっかりお金をかけているのでリアリティは抜群です。粗がない訳じゃない(・一般人なのにカメラワークがプロ ・ハンディカムが壊れなさすぎる、など)ですが、それは言い出したらヤボだろと思うくらい面白い映画です。
なによりも、「災害後に発見された映像記録(現在は合衆国国防総省に保存されている)」という設定がね。僕の中の中学二年生がドッキュンズッキュン刺激されるんですよね。この設定だけで100点。
実は公開当時は、「正体不明の謎の映画」として公開されたので、怪獣が出てくること自体がネタバレとなり、それを知っちゃってるとワクワク半減の映画であることは否めませんでした。10年経った現在はネタバレもなにもないし、そもそもこれを読んでるあなたは「ああ怪獣出てくるんだふーん」と思ってるはずなので、もうわざわざ観ないかもしれません。
しかし全国の中学二年生諸君には、2018年現在最も妄想に使える映画の一つという点でリコメンドしておきたい。ただ観るだけじゃない、映画をより発展的に楽しんでいきましょう。例えば・・・
1、朝一番、パソコン(ノートパソコンがそれっぽくて望ましい)で『クローバーフィールド』を再生。配給/制作会社のクレジットが流れた直後で一時停止しておき、パソコンをスリープさせる。

2、「自分は身分を隠して生活しているが、米国政府機関のエージェントである」という気持ちを作った上で出かける。

3、会社・学校・バンド活動などを滞りなくこなす。(この時も「実はエージェントである」気持ちを忘れない)

4、帰宅後、自室に誰もいない事をさりげなく確認。ロシアのスパイがいたら情報を盗まれてしまうので。

5、「”例の日”の、記録・・・」「10年前の真実、か・・・」など、意味深なことを鑑賞前につぶやいておく。言ってるタイミングで、突然自室にお母さんが入ってくる事態にだけ注意しよう。

6、ようやく映画を観ましょう。パソコンを立ち上げて再生ボタンを押せばスッと鑑賞できるはず。鑑賞中に「こんなことが・・・!」「聞いていた事情と随分違うじゃないか・・・!」など、適宜意味深なセリフも言っていこう。
恥の壁を乗り越えればメチャクチャ気持ちいいこと請け合いなので、大人の中学生のみんなも試してみてはいかがでしょうか。僕はやりませんが。そういう歳じゃないんでね。
成人男性が「政府機関エージェント」なんて子供っぽいロールプレイすると思いますか?

「凄腕ハッカーとして国防総省の極秘データにアクセスした」設定。大人はこれ一択ですよ。

【そんなことよりライブのお知らせです】

2月25日(日)
Waikiki Record Presents ”Waikiki Night”
会場:渋谷O-nest(アクセス)
開場/開演18:00/18:30
出演:空中カメラ/ Chris Van Cornell /三浦コウジ( Back band 空中カメラ)
オープニングアクト:SPIRO

DJ:KOUHEI’king’NOZAKI

予約 2300円 /当日2800 +1drink

ご予約はメールフォームまたは、e-plusからどうぞ!よろしくね!

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毎月20日更新!
1998年。僕は香川の田舎町で、『スター・ウォーズ』旧三部作のVHSをすり切れる程観ていました。
6歳児にとって憧れの世界、本物の宇宙と冒険がそこにはあったのです。

そんな『スター・ウォーズ』シリーズの最新作、フタを開けてみたら賛否両論でしたね!
なぜ本作だけがシリーズの中で特別なのか、個人的に分析しました。公開1ヶ月経ってるから、ある程度ネタバレしてるのは勘弁して!

スター・ウォーズ 最後のジェダイ

2017年(アメリカ)
監督:ライアン・ジョンソン
主演:デイジー・リドリー

「スター・ウォーズ」の10年ぶりの新作として大ヒットを記録した「スター・ウォーズ フォースの覚醒」に続くシリーズ作品で、伝説のジェダイの騎士ルーク・スカイウォーカーを探し当てた主人公レイがたどる、新たな物語が描かれる。

あらすじ引用:映画.com

ライアン・ジョンソン監督は、『最後のジェダイ』を懐古的な映画にすることを選びませんでした。歴史が長く、伝統的なシリーズであるがゆえに”スター・ウォーズらしい演出”というものが存在するのですが、今作ではその辺をあえて重視しなかったように思われます。
例えば、レイがフォースの修行をするシーン。セリフに合わせて素早くカットが切り替わる演出は、”スター・ウォーズ的な演出”ではありません。草木が芽吹く様子が早回しで挟まりましたが、今までスター・ウォーズでこの技法が使われた事はありませんでした。
特攻シーンで完全な無音になる演出も、落ちていく爆弾のスイッチをスローモーションで描く演出も、レイの心の声をナレーションとして挿入する演出も、枚挙に暇がありませんがすべて違います。これまでのシリーズが選択し得なかった、現代的な新しいセンスです。
これらはしかし、『スター・ウォーズ』を求めて観に来たファン達にとって、強い違和感だったと思います。今作のいくつかのカットで採用された、スローモーションや早回し、またはナレーションという技法は、効果的ではありますが「映画である」ことを観客に気づかせてしまう諸刃の剣です。だからこれまで使われたのは一度だけ、『帝国の逆襲』でのルークが見た幻影シーンのみです。たぶん。忘れてるだけかもしれないけど。
さらにストーリー面も異質です。敵味方どちらも、失敗し続けるのです。
『スター・ウォーズ』はウォーズって言ってるくらいだから戦争の話なんですが、基本的にネアカです。戦争なので双方に作戦があり、各エピソードでどっちかの作戦が”成功”してヤッターとかクッソーとか言う訳です。
しかし、『最後のジェダイ』は”失敗”が主なテーマになってます。良い奴も悪い奴も、伝説のジェダイさえも、失敗し、敗北するのです。
“失敗”はこの映画全体にまとわりつく、不穏な空気の正体です。いつもの『スター・ウォーズ』ならば爽快に解決してくれるアレコレが複雑に積み重なって、キャラクターたちを追いつめていく様が丁寧に描き出され、受け入れがたい要因の一つになっていると思われます。
価値観が多様化し、イージーに様々な作品に触れられる現代で、人の心を動かすのは難しい事です。かつてと同じ価値観で『スター・ウォーズ』を作っても、現代で作る意義のある作品になり得なかったと思います。
重ねた失敗を糧にできるか否かで、本作においての真の勝利が浮き彫りになる訳ですが、やはり今までのシリーズとは別の答えが提示されます。
作中でローズが言ったように「生き残る事が勝利」なのです。失敗を学び、戦争から背を向けてでも生き残るのが、勝ち。
生きる、というのは戦争を越えた本質的な勝利に他なりません。また、戦争そのものの拒絶でもあります。かつての僕のようにこの映画を繰り返し観るであろう子供たちが、受け取るメッセージのひとつになるでしょう。
本作が取り入れた現代的、映画的なエッセンスを僕はとてもポジティブに捉えています。次の世代の『スター・ウォーズ』が観れたと感じていますし、『フォースの覚醒』のみならず、あらゆる過去作の続編として面白かったと思います。
なにより、一本の独立した美しい映画でした。次作の公開を楽しみに、明日も生きていきます。
あと余談なんですが、どう見てもキンタマから青い母乳を出す生き物が登場します。観てない方は必見です。

▼【ライブ情報!】

【もうすぐ!】

Smooth Ace  presents マンスリーライヴシリーズ

「OPEN THE DOORS」2018 Jan.~ Jun  @代官山 晴れたら空に豆まいて

1月29日(月)
open 18:30 / start 19:00
会場:代官山 晴れたら空に豆まいて 
出演:空中カメラ/Smooth Ace(w/ツヤトモヒコ[vo]、レモン[vo]、江草啓太[pf])

料金:予約3,500円/当日4,000円 (全席自由、1ドリンク別)
ご予約受付:予約受付中
予約方法:メール予約(整理番号順入場)
受付メールフォーム http://mameromantic.com/?cat=20

お問い合わせ:晴れたら空に豆まいて 03-5456-8880

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シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア

2014年(アメリカ)
監督:ジェマイン・クレメント、タイカ・ワイティティ
主演:マイケル・シャノン

現代の社会で一緒に暮らしているヴァンパイアたちの日常をモキュメンタリータッチでつづるホラーコメディー。それぞれに個性豊かなヴァンパイアたちが織り成す愉快な暮らしぶりや、共同生活の行方を描く。

あらすじ引用:シネマトゥデイ

ヴァンパイアあるあるをイジり続ける、モキュメンタリー・コメディ。タイトルの通り、4人のヴァンパイアが屋敷で同居しています。
日光を浴びたら死ぬから昼夜逆転は当たり前。意味なく空中浮遊もするし、ケンカするときはお互いコウモリに変身。そんな彼らの共同生活に取材カメラがお邪魔しました、という体で描かれます。
先に書いたように「ヴァンパイアあるある」が高精度かつ、ぬるま湯のような温度で繰り出され続ける訳ですが、そもそもヴァンパイアなんてものは実在しないので、映画そのものが「無い存在のあるあるを言い続けている」という巨大なギャグに内包されています。僕は「無いこと」の笑いに非常に弱い(例えば「日本一アメリカンな県「アメリカ県」の名産品を教えて下さい」というお題があったらそれだけで笑ってしまう、そんな県は無いから)ので、恐らくこの映画に対しても笑いの沸点が若干甘いんですが、同じような趣味の人には特にオススメです。
ヴァンパイアが平然と生活する世界観は異常そのものなのに、ツッコミが誰もいない、いわば観客しかツッコミ役がいない構図は、松本人志のコント映像集『ビジュアルバム』に通ずるものがあります。名作と呼ばれる映像集ではあるものの、大爆笑できる箇所は意外と少なく、むしろ意図的にそういった大きい笑いが起きる要素から外しているように感じます。ただ一言「お前これなんやねん!」とツッコミを入れればドカンと来そうなのに、誰もそれはやらない。異常な人が出てきても、異常さにうっすら怯えたり、普通に舌打ちしたりするだけです。
『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』もほぼ同じ構図がありまして、ヴァンパイア屋敷のメンバーに、中盤から普通の人間が一人混じるんですよ。stu
右手前が普通の人間・ステュー。他の二人はヴァンパイア。

ステューは単に展開に巻き込まれてここにいる訳ですが、コメディ映画的には何百歳も生きてて感覚がズレまくってる吸血鬼たちに「なに言ってんの君ら」とツッコミを入れて欲しいところを、こいつはなーーーんにもしません。普通に居るだけ。吸血鬼達に対しても(たぶん)普段通りのコミュニケーションプロセスを踏襲するせいか、なぜか気に入られていきます。状況に怯えてるのか、楽しんでるのかも絶妙にわからない。普通すぎて。
この辺はもう好みだと思いますが、僕はめちゃめちゃ笑いました。普通の人間である事が一番のボケになってしまう環境づくり、スゴいなと思います。「お笑い臭さ」をあえて排斥することで、ピュアな「変な世界観」だけを残す、ドリップコーヒーみたいな映画ですね。
はい。長々と書いておいてアレですが、ご鑑賞の際は、上記ぜんぶ忘れてくれて大丈夫です。
僕、この映画をある人から勧められたとき「この映画、頭カラっぽにして楽しめるから☆」みたいな事を言われたんですが、結果的にお笑いオタクみたいな事ばっかり考えてしまいました。もっと・・・もっと素直に生きたい・・・。
次回は『スターウォーズ:最後のジェダイ』ついて書けたら書こうと思います。賛否まっぷたつの映画ですが、僕は大肯定派です。まともに書くと多分10000字越えるんで、要素絞って頑張ります。また来月。

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